【個人用防護具】 personal protective equipment: PPE

 医療現場においては、人に危険な病原体の曝露によ り健康な医療従事者が重大な疾患に感染してしまうと いう痛ましい報告が後を絶たちません。血液や湿性生 体物質から医療従事者を守るために、スタンダードプ リコーション(標準予防策)の実施率を高めること は大変重要です。そのためには針刺し切創防止のため の安全対策器材の使用と、血液または湿性生体物質 に触れる可能性がある場合の個人用防護具(personal protective equipment:PPE)の使用を徹底しなければ なりません。
 主なPPE としてガウン、手袋、マスク、キャップ、 エプロン、シューカバー、フェイスシールド、ゴーグ ルなどがあります。
 米国Centers for Disease control and Prevention(CDC) は、1996 年の隔離予防策のガイドラインにおいて、「病 原体と宿主因子はコントロールが困難であるので、微 生物移動の阻止は感染経路に向けられるべきである」 としています。したがって、感染経路を遮断するため の有効な手段がPPE であり、いかに適切に使用するか が大切です。

【個人用防護具とは】 一般社団法人 職業感染制御研究会より引用

https://www.safety.jrgoicp.org/ppe-2-what.html

<Face Shield 試作編>

【サンプルFace Shieldの評価コメントなど】2020.April.25現在

※あくまで主観に基づくコメントですので、評価は個人差がありますのでご了承ください。

・拡大鏡との併用も可能なので、かなり実用的です(歯科医師)

・Dr-Kim HeadLamp & Loupe/Telescope との併用は難しい、シールドの透明度が高い方がいい(歯科医師)

→Dr-Kim HeadLamp & Loupe/Telescopeの可動範囲や装着形状を考慮すると、独自フェイスシールド形状を検討する必要がありそう。透明性の観点では、PP素材より塩ビ、PETが有効かも

→継続的に評価を依頼中

①Faceガード部:A3サイズ カードケース(既製品)>高透明PP(レーザー加工用)、塩ビ(レーザー加工機には使えません。ハサミカット用)等

【商品名】A3サイズカードケース:高透明PPカードケースA3(ポリプロピレン製:DAISO),カードケースA3(塩化ビニル製:SERIA)ほか

②額当て:挟みクッション(既製品):NBR(発泡ゴム) >175mm/個

【商品名】はさみこみクッション100cm×1.3cm(DAISO),安心クッションはさみこみ型(TRUSCO)ほか(材料品質は値段相応かも?柔軟性、弾力等)

③頭部固定具:ゴムバンド(マジックテープ付)

【商品名】べんりベルト2倍伸縮 幅2.5cm長さ45cm,3本入(DAISO)ほか

④額フレーム:アクリル3mm >レーザー加工(W450×H300mm)8枚加工可

材料原価シミュレーション

①110円(2枚)/55円、②110円〜9,000円(サイズによる)/15円〜72円③110円(3本)/37円、④600円〜1,000円(販売店、仕様による)/75円、⑤梱包資材(段ボール、プチプチ)/20円/封筒B4マチ付55円、⑥その他

合計257~314円 別途かかる費用(材料仕入送料、レーザー加工費、組立て加工調整費、消毒等の検品費、配送料、手間賃など)

↓素材メモ(wikipediaより引用)

【ポリプロピレン】(polypropylene、略称PP)とは、プロピレンを重合させた熱可塑性樹脂である。 ポリプロピレンは汎用樹脂の中で、最高の耐熱性を誇り、さらに比較的、強度が高く、耐薬品(酸、アルカリを含む)性に優れ、比重が最も小さくて水に浮かぶ上に、吸湿性が無いといった特長を有している。

【塩化ビニル】(ポリえんかビニル、polyvinyl chloride、PVC)または塩化ビニル樹脂とは合成樹脂(プラスチック)の1つで、塩化ビニル(クロロエチレン)の重合反応で得られる高分子化合物である。加する可塑剤の量によって硬質にも軟質にもなり、優れた耐水性・耐酸性・耐アルカリ性・耐溶剤性を持つ。また難燃性であり、電気絶縁性である。このような優れた物性を持ちながら、ソーダ工業における食塩水電気分解で副産する低価格の塩素ガスが重量の半分以上を占める主原料のため非常に値段が安い。

【NBRニトリルゴム】(NBRスポンジ) NBRスポンジは反撥弾性や耐オゾン性に乏しい欠点がある。主に、耐油性を必要とする工業用ゴム製品に利用される。

【アクリル】:メタクリル酸エステル重合体(ポリマー)は透明度の最も高いものの一つで、屈折率も1.49と高く、熱可塑性で複雑な形状に加工することが可能なために光学材料の素材として汎用されている。クロロホルムやアセトンなど種々の有機溶媒に可溶であり、非晶質プラスチックで80–100°C程度で軟化変形し始める。熱成型は通常260°C程度で行われる。※エタノールをかけるとヒビが入るなどの報告もある?(溶剤との相性は要確認)

【合成ゴム】:合成ゴムは人工エラストマーで、これらは主に石油の副産物から合成されるポリマー。ポリブタジエン系、ニトリル系、クロロプレン系などがある。合成ゴムだけでは、成分は特定できない。

●プラスチック、ゴム素材への溶液反応の可能性(あくまで参考情報)→※未検証です!

フタラール消毒液0.55%「ケンエー」 https://www.kenei-pharm.com/medical/intro/phtharal/06.php

消毒薬の基礎知識 https://www.kenei-pharm.com/medical/countermeasure/faq/b07.php

●レーザー加工に適する素材、適さない素材(参考)

ヨコハマシステムズサイトよりhttps://yslaser.com/laser-materials/

<Face Shield編-自作用テンプレート> 

❶ A:Plateのテンプレートpdfデータを印刷機(max A4or max A_size)に合わせて印刷します。A4サイズの場合は2枚を貼り合わせて使用します。

❷ 既存のA3サイズのカードケース内にテンプレート紙を挿入します。(フェイスガードのアウトラインはカット不要)、何箇所か適当にテープのりでカードケースと内紙を仮固定します。

❸ パンチ(φ6mm)を使って、カードケースを内テンプレート位置に合わせて、穴あけします。(指定箇所8箇所)また、固定具の箇所(長方形)はカッターでカットします。

❹ Faceガード部分を作成。カードケースを内テンプレートに合わせてカットします。2枚完成。

❺ 頭部固定具:べんりベルト2倍伸縮(既製品)を2つにハサミでカットします。

❻ 額当て用に挟みクッション(既製品)を175mmサイズにハサミでカットします。

❼ ❹と❺を針と糸で両サイドに固定します。→Faceガード部分完成

❽ 額フレーム:アクリル3mm をレーザー加工で作成します。(近隣の加工できるLab.等で作成)

❾ ❻❼❽を組み立てます。完成!

【今後の課題・検証事項、注意事項等】安全性能、各使用分野における性能評価、素材の耐久性、繰り返し運用時の消毒など溶液と素材特性に関する評価、機能性能、形状に関する検証など、合わせて製品ロット数、使用素材の調達方法、アッセンブリング方法、価格設定、配布方法等→現状の課題を踏まえ、あくまで使用者の自己責任範囲での利用が望ましい。

Face Sheld Ver.1.0_Data (2020.April.19)

Pdf data →A:Plate(A4_size,A3_size,)/B:Flame(For Acrylic,1pice. 8pieces.)

【バンド材料:extra plan /2020.April.20】

合成ゴム(幅約18mm)、ポリプロピレン(固定具のみ利用)/いずれもDAISO

【フェイスシールドDIY 2020.April.23】医療機関でPPE物資の不足が続いている現状では、なかなか関連する周辺機関にはさらに届かないのが現状なようで、医療機関に出入りする関係の方々も十分注意が必要な状況になってきています。そこで今回は必要としている機関の2名の方に代表で、関係者分計8セットのFaceShieldを一緒に製作しました。3密を考慮し、窓全開での作業でしたが、所要時間1時間半で基本材料とカット調整を行いました。内3セット分は完成し、残りの5セットは、各自必要パーツを持ち帰り、自宅で製作していただく予定です。

【Face Shield 使用検討編 2020.April.24】樹脂素材の入手が難しくなっている現状で、様々マテリアルや使用方法の検討が必要です。ベースのシールド本体を生かして、A3サイズのOP袋でカバーする案はどうだろうか。OP袋は使用に応じて使い捨てとする。袋のシワが使用時にどの程度影響するかは検証が必要である。